鳥羽から渥美半島に渡って、そのあとひたすら海沿いを東に向かうとなると「太平洋沿岸自転車道」なる便利なものがある。道路にもマーキングされているし、その通りに全行程走るわけではないけど大方針としてのガイドがあるのはとても心強い。
道のことと、とりあえず面倒なことと
千葉から和歌山まで、太平洋沿岸の行政がまとまって同じサインを付けて誘導しようと言う取り組み。こういうのはすごく良いなあと思う。大体行政が、特に小さい自治体がやろうとすると「我が街のグルメスポット」まとめた冊子を作ってるのだけどそんなに狭い範囲で何軒も飯食わんもんなあと毎回思うし、近隣と仲良くすりゃ良いけど役場の文法としては「地域住民への還元」が優先になるから仕方ないのもわかる。
まとめサイト自体はありがたいし、中に入ったら都道府県別になってるのもまあ仕方ない。
ただ、実際走ってみると「とりあえず繋いだだけ」の道もおおいし、沿岸のルートは砂かぶって走れないところも多い(グラベル天国)し、「はい、ここにサイクリングロード用意しといたよ」くらいの道も多いので、実際は走りにくい所も多い。
サイクリングロードまで国道から階段を押して歩かないといけないって絶対関係者走ったことないやろ?と思うところもちらほらあるし、やたらとくねくね道が曲がって2〜3km毎くらいに国道に戻って短いセクションを繋いでて「結局国道走った方が快適で走りやすい」という区間もあった。車の数も少なかったし。
てことで、ロードの人には「自転車道気にせず走りやすいところ走った方がいいよ」と思うのであります。眺めはいいけど。
てことで、グラベルの話。
海岸線のグラベル
太平洋沿岸自転車道のハイライトはなんと言ってもグラベル。神奈川や静岡の方はそこまででもなかったけど愛知県の範囲においてはかなり楽しいフラットダートが延々と続いてて最高だった。
太平洋沿岸、やはり波が強かったりするから海水浴場として開放されている感じのところは少なかった。延々と続く浜辺にいるのは、サーファーと釣り人くらい。どちらもランクルやハイエースに乗って浜まで入り込んでひたすら海と向き合って遊んでいるくらいで、工事関係者を除けばほとんど人に会うこともなかった。ましてや自転車乗りは片手で数えるほど。
ということで大して整備も舗装もされてない「気をつけて走ってね」くらいの道が海沿いに広がり、自転車用に整えられてる区間は半分くらい砂で埋まってロード乗りの悪評を集め、ひたすら沿岸の荒れた砂利道区間が続く。つまり、最高のグラベルである。
浜まで降りると流石に砂の中を走るので無理があるけど、1番最初の写真のように自転車道と並走してるところは石ころも少なくて綺麗。
こんな感じの風景が、グラベルからふと目に入る。たまらんなこれ。みたこともない風景がいくらでも国内にあるってすごい。
地獄の砂セクション
ここは情報共有として記しておきたいのだけど、太平洋ロングビーチの高松町海岸から大草海岸までの区間は、ひたすら深い砂地でほぼ押して歩いた。次はもうここは行かん。
怪しいな、という感覚はあったのだけど、とりあえず行ってみよかと進んだのが運の尽き。2km延々と押し歩いた。
砂紋が綺麗な砂浜が繋がって、そこまでのルートと打って変わって人の気配がない。タイヤの轍も、足跡も全くない。時折犬か何かの小さい足跡が見られるくらいで本当に何かの痕跡がない。ペットボトルがたまに転がってるけど足跡残ってない感じからするとだいぶ古いんだろうな
ちなみにここから東の方にもかなり草の繁ったエリアがあって藪をかき分けて進んだところがあった。豊橋市の高塚海岸。
所々国道に上がったり、走れそうにないところを回避しながら東に向かって走るのだけど、それでも十分堪能できるくらいにフラットダートが続く。「フラットダートなんてクソ、ガレた下りの岩場こそ日本のグラベル」みたいな人はそれで良いと思うけど、こういうところをガンガン走るのはハードル低くて楽しめると思うんだけどな。グラベルの聖地ってことにして人集めたらいいのに()
そして豊橋の七根海岸から東は延々と綺麗なダートが続く。ここ本当に最高だった。後から見ると5kmくらいのもんだけど、釣り人がたまにいるくらいでひたすら幅の広くて走りやすいグラベル。
砂利道が終わって一息つく頃には静岡に入って、浜名湖まで移動すると今度は遠州灘の防潮堤の上を淡々と走るグラベルがまた5kmくらい続く。磐田の福田あたりまで行くなら10kmくらい全部であるかもしれないけど、この日の目的地は浜松だったので中田島砂丘のところで北上してこの日のライドは終わり。
全部のルートをグラベルで、ということもないし移動距離からすると30%くらいのものかもしれない。ただ、「延々と続く海沿いのフラットダート」という環境はやはり格別でずっと「たまらんなー」って言いながら走ってた。このルートはまた気の合う友人とやいのやいのと言いながら走りたい。
ルート的には、大阪から鳥羽まで近鉄特急で移動して翌日にグラベル走るってのが多分最高。浜松で餃子とクラフトビールで打ち上げして新幹線で帰るのが最強なんじゃないだろうか。
恐ろしいほど日除けがないので、次行くとしたらちょっと涼しくなってから10月とかが良いかなーと思うけど。気温や気候など、3月の暖かい曇り空というのはベストだったかもしれない。