Play! Bike! Camp! バイクパッキング記録ブログ

40代子連れのおっさんが、バイクパッキングやポタリングする記録のブログ。

村上春樹「街とその不確かな壁」

読書記録はさらに別のブログに書いてた気もするけど面倒になってきたのでこちらに記しておく。

村上春樹の長編「街とその不確かな壁」を少し前に読んだ。新作をハードカバーで買って読むのは伊坂幸太郎の短編以来?かなり久しぶりな気がする。


何の前知識もなく読み進めて「おや、世界の終わりなのでは」と思う程度に「世界の終わりと、ハードボイルド・ワンダーランド」をなぞるような物語。違う物語だけど同じシーンが続いて期待と不安と不思議な気持ちのまま読み進める。

最後に後書を読んでみると「街と、その不確かな壁」(、がついてる)という古い短編が発端となる作品でそれを書き直したのが「世界の終わり」であり「街とその不確かな壁」ということなので似てるのはそりゃそうかという感じ。そこまでして村上春樹の中で表現したい物語なのだろうな。


話が進んでいく中で少しずつ違うところや違和感みたいなものがあり、違う話なんだからそりゃそうだよと思いながらも「世界の終わり」でクライマックスになっている物語が全体の半分にも届かないところで終わってしまう。フィジカルな本の面白さこの「本の厚みを手に取りながら進んでいく」というところにあって、まだ半分も行ってないぞとか、もうあと少ししか残ってないぞとかそういう事を感じながら読み進める。もちろんKindleでも進捗のパーセンテージを見ることは出来るけどわざわざ確認しないと出てこないし、小説ならまだしもコミックなら「気がつけば終わってた」みたいなことになるからあまり頼りにならない。


そして、「世界の終わりと似た世界」の話が終わった後からの2部からの話がとても面白かった。村上春樹的な世界(かっこう)、不思議な人物、特徴的な物語。それでも最近の少し不思議度合いが強すぎて奇妙な世界観になってる「騎士団長殺し」や「1Q84」などよりも個人的には好きだったな。個人的な好みの話。


ハードカバーの大きな本で持ち歩いたりもしないし家でのんびり読んでるだけだったけどとても楽しい体験だった。